第61回Salone del Mobile.Milano|ミラノサローネ国際家具見本市視察のご報告

2023 Milano Salone Report

2023年4月18日~22日(6日間)に実施された61回目を迎えたミラノサローネより戻りましたので状況について共有させていただきます、私も1990年代からサローネに通い出して、多分、今年で20回目くらいの渡航となりました、私自身「なぜ毎年行く必要があるのか?」と自問自答しながらやっぱり今年もまた行って参りました。
今年も「来て良かったなあ」と言う結果になっており、少しでも皆様と情報共有、共感が出来ればと願い概況をご報告させていただきます。

先ずは公式にサローネ開催事務局から閉会後に来場社者数に関して数字の発表がありましたのでご案内します。

<実績 /会場での集計結果>

307,418人が来場(181か国)、昨年比で+15%増、2,000社が出展、内34%がイタリア以外37カ国から参加、サテリテ(35才以下のデザイナーが公募で出展されるエリア)では550人のデザイナー(31カ国)、学校・大学28校(18カ国)が参加。
来場者数の国籍内訳ではイタリア以外、海外からの来場者が65%を占め、中国がイタリアに次いで2位と言う事、以下はドイツ、フランス、米国、スペイン、ブラジル、インド・・・との事。

<対比用の過去のデータ>

2022年60回:出展企業1,575社(27%はイタリア以外)来場者175か国 262,608名
2021年59回:11月に縮小開催来場者:113か国 約6万人
2020年:コロナ渦のため中止
2019年58回:来場者181か国 386,236名
2018年57回:来場者188か国 434,509名(サローネ史上最大値)

開催概要は下記の公式サイトをご参照ください。
https://www.milanosalone.com/

今年のテーマは?

「Do you speak Design?」
「デザインは世界のあらゆる文化に共通する言語で普遍的な物であり、この週にミラノサローネに集まる違う国の人がこの普遍的言語を通じ対話し文化の融合する場である」・・・と言うのが今年のミラノサローネのキャンペーンテーマとなります。
「ミラノサローネを通して、情熱、エネルギー、熱意、企業精神等と発信、伝達していこう」と言う内容です。
コロナ渦やウクライナ紛争、グローバル経済の軋み等の暗い世情背景の中でもネガティブな要素は無く、元通り、いつものミラノサローネが淡々と行われていたと言う状況でした。

また現在社会の普遍的テーマであり「再利用、リサイクル、再生、持続可能性」への意識レベル強く、紙ベースの販促物(カタログ、リーフレット、ポスター等)は極力最小化、ネット上での情報発信、QRコード多用、完全LED化、後述させていただきますが製品にも当然の様に再生可能な素材利用が多く見られていました。

<視察の行程>

4月18日(火):夜成田発
4月19日(水):昼頃現地入り、午後からブレラ界隈フォーリサローネを視察
4月20日(木):Hermesブレラ界隈スタート→Assab 1(カリモク)→中央駅周辺の新しいエリアDropcity
4月21日(金):本会場のフィエラ・ミラノ(Fiera Milano)1日で駆け廻る。
4月22日(土):Tortonaエリア→Rossana Orlandi→ALCOBA→GUBI
4月23日(日):DIOR→MAARTIN BASS→INTERNI→DUOMO界隈(Luis Viton・Cassina・DePadova・・等)締はMOHD→INGO MAURER
4月24日(月):OFF
4月25日(火):帰途に着き26日(水)昼成田着。

※視察に活用したMAPサイトのURL下記となります。

正確で効率的に廻る事が出来ました、例年必需品である無償配布されるINTERNIの冊子にMAPが無くなりました、ネットでの情報だけで見て廻る事になりましが、紙のMAP利用より楽になりました。

MILAN DESIGN WEEK 2023 MAP

https://www.google.com/maps/d/viewer?mid=1oKQ05LoZ7oJ9OnOW93EP9RH-IIOElxU&ll=45.479182483224974%2C9.154170749999997&z=13

※提供者が無償で配信しているMAPなので、会期後は消去される場合があります。
MAPには本会場のフィエラ・ミラノ(Fiera Milano)を含め合計182カ所の記載があります、記載の無い個展も相当数ある訳で、到底1週間で脚と公共交通機関で全てを廻る事は出来ません、取捨選択して見て廻るためのポイントは下記の様な物となっています。

1,フィエラ・ミラノ本会場に行くか?行かないか?
2,有名個展集中しているエリアに行くか?
3,現地で得る注目個展、エリア情報をどこまで見るか?
今回も全体のどのくらいを見ているのでしょうか?・・・半分くらいは廻っているのでは?とは感じてはおりますが・・・毎年気力と体力で懸命に廻り続けておりますが・・・定かではありません。

<概要>

本会場のフィエラ・ミラノ(Fiera Milano)

※Rho Fiera Milano展示スペースは345,000㎡(東京ビッグサイトの総展示面積は115,420㎡との事なので約3倍)
同時開催Euroluce(照明の展示会)と含め大幅にレイアウトが変更されておりました、家具を展示している棟は昨年まで使用されていた複層階は無くなり全ての棟はワンフロワーで見て廻れる様になりました・・・体力的にも気分的にも多少楽になりました。クオリティー、量感ともに例年通りと言う印象です、satelliteは31カ国からの出展となり多彩な表現に触れる事が出来ました。

日本から出展のデザインラボ「HONOKA 」がSaloneSatellite Award)2023のグランプリを獲得・・・非常にレベルの高いプレゼンを行っておりました、例年通り桁違いのコストをかけて造られる展示ブースのクオリティーは圧巻、至って健全かつポジティブな雰囲気の中、賑わいを見せておりました。

フオーリサローネ、Fuori Salone(Feria本会場外で開催される個展)

Toltona地区、トリエンナーレ等のメジャーなエリアの停滞、他のエリアの台頭と言う流れは続いておりました。
今年も新しい会場、エリアが出現していました。

  • 中央駅の歴史ある高架下の区間を利用した「Dropcity」
  • 歴史あるミラノの屠畜場の廃墟を利用した「ALCOBA」

サローネの特長でもある「製品を見せる環境」「環境の優位性」は健在で非常にインパクトのある物でした。
他ではLuisviton、Hermesを代表に有力企業の力強いパフォーマンスも印象に残りました。
中でも会員制プールを個展会場にしたGUBIは圧巻でした、「製品を良く見せる」「快適、心地よいとは」「ここは良い、ここに居たい」とまでと感じさせる空間の構成力は凄いの一言でした、こんな家具の展示会って良いの?と感じました。

<視察レポート>

出展者、メーカー、製品の個々にレポートする事は不可能です、現地で撮影した画像を共有させていただきますので、本レポートと共にご参照いただき個々何かお感じになっていただければ…興味を持っていただければ…と思います、視察中に書きとめたMEMO的なレポートに留まりますが何卒お許しください、ご質問、さらに詳しく知りたい方はご遠慮なくご連絡ください。

・人多し、人気個展は30分~2時間待ちあり。

待ち時間が長そうな、ブース、個展はスキップ、例えばFieraの大型人気ブース、Fuori のGoogle等・・・残念ですが飛ばして廻りました。

・日本企業“いいね”頑張っています・・応援します。

今年も日本人、日本企業が参加、出展されておりました、クオリティーも良く、力負けしても無く、好印象です、繰り返し、積み重ねる事が大事だと・・・失敗も成功も経験になっているのだと感じます、チャレンジは続ける事でクオリティーは上がって行きます。

・淡い色調の中に明るい色味。

発色の良い色合いが多かつた・・・金属、樹脂等のプラスチック素材、ファブリック、合板類・・・「リサイクル、再生」は変わらぬテーマです、ミラノだから成立すると思える色もありますが、全体として病、戦争と暗い重苦しい世情の中ですが「明るい色調」が多い事は意図的なのか、トレンドなのか、いろいろ考えが浮か部分でもありました、素材を活かすために色使いを考え、工夫を凝らしている事は事実です。

・リサイクル、再生可能な素材の追求、プラスチック、樹脂、合板、スチール、・・・・無垢材製品はマジョリティーではない。

持続可能性についての取り組み、真剣度、凄みは増しています、異素材の組み合わせ、一見奇抜と見えますが、これが先々新しいスタンダードになって行くのだろうとも感じさせられました。

・丸い、丸い、丸い・・・角が無い。

主にソファですが、角が無い、有機的な形状が目立ちます、昨年も「丸み」を感じました、変わらない感触です。
ダイニング関連木部も丸型断面のフレームが多い、スチールも丸パイプ多い、しばらくはロクロ大活躍かなあ・・・。

・生地使いはやはり絶妙、多種の生地コンビ張りは良し、色柄ともに派手さは無いが緻密。

光沢のあるベルベットは少なくなり、太番手、起毛、織で見せる等の手法が多かった、トレンドですがコンビ張り製品も多くみらました。

・やはりソファはアイランドタイプ、ユニットタイプが目立つ、構造はシンプルで丈夫。

今年も動向は変わらずと言うか、リビング、パブリックな空間を機能的かつ有効に使おうとする指向は健在、一部カバーリング仕様の製品、シンプルな構造、上部、修理、部材交換可能と言うメンテナンスへの配慮も持続化可能に添った提案だと理解しました。

・NIKARI・VITRA・MAGISはやはり良かったです。

個人的な嗜好ですが、良いです、好きです。

機能的なミニマリズム・チェア&スチール等

いいなあと感じたのはチェアとスツールとの組み合わせ、「座る、寝る」と言う休息に使う最小ユニットに可能性を感じた。

ラタン編み物多し、しかも高級品。

ラタン、竹、樹脂繊維を「編むプロダクト」は商品性も高く、「サスティナブル」と言う言語にマッチするのでしょう、昨年より増えています、それもラグジュアリー、高級品としての製品として注目されていました。

アウトドア家具が多い。

驚くほどです、なぜ??アウトドア家具メーカーのブースが多くまた力強い・・・こんなにも需要があるのか?・・・理由は未だ良く分かりませんが今年の傾向としては記録しておきます、感覚的に倍増だと感じます。

中国人戻った。

中国人多し、会場内ではやけにプレスパスでの入場が多く、いつも通りのバスでの団体行動も散見、大分服装もオシャレになった、Richそう、でも相変わらずの方々も居る、、韓国人も多いと言うか、服装で直ぐに分かる、発信力高し・・・反面・・日本人私も含め地味で目立たない様な感じ、サローネは学びの場でもあるので・・・頑張らない。

カリモクさんは本気モード・・・これにはびっくりです。

本会場と2か所の個展会場、計3会場、多彩なデザイナーの起用し5つのシリーズの発表との事・・・実際に見てこれ本気モード、日本国内向けのパフォーマンスではありません、海外展開への本気モードと解釈・・・これは正解だと感じます、日本のプロダクトが生き残るためには、シュリンクし続け日本市場で製販ともに閉鎖的な体質に付き合うとしたら・・これまさにとガラパゴス化・・・そんな日本市場に注力する事は可なのか?・・・・考えさせられます、簡単では無いでしょうが今後の展開がたいへん楽しみです、トヨタを生んだ地盤企業、プロダクトも俊逸でした。

なんでブラジルがこんなにサローネに注力しているのだろうか?

会場、個展ともに規模も大きく目立った出展をしていた、デザイン傾向は独特なので、新鮮は感触です、クオリティーも低くありません、ブラジルのデザインにも注目。

DePadovaはBoffiに吸収されてしまいました。

残念ですが・・・DePadovaは完全にBoffiに吸収されてしまった感じでした、イタリアのブランド産業として考えると適正な流れなのかとも感じますが、Boffiのテイストが強くなった、なってしまったと感じております、DePadovaの知的、フェミニン、ナチュラルな感じが弱く、モダンで男性的見え方は残念。

Time&StyleはBoffiにこのまま吸収されていくのだろうか?

まだまだ大丈夫、素晴らしいです、がしかし・・・DePadovaの上記と同じ様になって行く様な感じ、雰囲気がする・・・。
隈研吾デザインのソファは良いとは思うが・・好きではない。

ピックアップされたデザイナー、建築家はGood、今年の企画展が照明だから?

サローネでは毎年と言って良い程に日本人デザイナー、建築家が注目される傾向はあるのですが、今年は坂茂と田村菜穂。
良い感じです、しかし板茂のヤマギワから発売すると言うフランク・ロイド・ライトへのオマージュでもある照明には???良いのだけど、これで良いの?・・って感じたのは私だけでしょうか?

田村菜穂氏関連のURL下記、日本文化と世界のデザインの位置関係のプレゼンはとても良いと感じました。
https://www.salonemilano.it/en/session/conversation-nao-tamura

Goodな印象を与えた個展については思いついた部分を書き出しておきます。

  • SUGIYAMA
  • YAMAHA
  • KARIMOKU
  • DROPCITY
  • ALCOBA
  • GUBI
  • LOUI VUITTON
  • MOOOI
  • ASAB ONE
  • MAARTIN BASS
  • ROSSANA ORLANDI
  • INGO MAURER
  • HERMES
  • MOHD
  • OCCHIO
  • CASSINA

※思い出したら追記するかもです・・・。
以上となります、取り留めもなくまとめてみました、ご一覧ください。

視察中撮影した画像をご覧になりたい方は【CONTUCT US】からお知らせください。